募集も応募もスマホで手軽、噂の「スキマバイトアプリ」が農業で急拡大!?使ってみた農家に、実際どうなのか聞いてみました。
執筆者:林浩陽(石川県野々市市)
『現代農業』2026年3月号「スキマバイトアプリすごいわ! 関係人口を掘り起こす優れたツール」より
10日間の求人枠が10分で埋まった!
農業経営者の悩み、それは、農繁期にいかに働き手を確保するか? とくに稲作は、田植えやイネ刈りの時期、社員だけでは労働力が不足します。林さんち(林農産)では、年末のもち加工での人員不足も顕著です。
これまでは、友人知人や地域の方に呼びかけてなんとか確保してきましたが、これも限界がある。といって、通常のバイト募集サービス各社を利用しても、面接や何やらで急な人手不足に対応できない。ここ数年、求人ではとても悩んでいました。
そんな折、2024年の石川県農業法人協会の総会後の交流会で、アグリサポート会員であったスキマバイトサービスの「タイミー」社を紹介されました。いろいろとお聞きすると、すでに多くの農業法人で実績があるとのこと。年末のもち加工で利用しようかと考えてお願いしたら、懇切丁寧にサポートいただき導入できました。でも結局、もち加工ではなんとか人員確保できたので、いったん保留……。
あくる25年春、田植えが始まってすぐに、なんと予定のバイトがドタキャン! 切羽詰まって急だったこともあり、ダメ元でタイミーを使い10日間分の求人をしてみました。すると、ものの10分もしないうちに求人枠がすべて埋まってしまいました。応募者の半分以上は女性です。まさかの事態に驚きを隠せませんでした。
筆者(右、65歳)と田植え時のバイトさん。林農産は稲作約47haの経営。金沢市の隣・野々市市に位置し、農に興味のある都市住人が近隣に多い
仕事ののみ込みがとても早い!
求人では、タイミー社のアドバイスを受けました。まず「初心者大歓迎」を前面に出し、時給は1100円と最低賃金に少し上乗せしました。タイミーには報酬金額(賃金+交通費)の30%を手数料として支払います。
もちろん、労働時間や休憩時間も明記します。スキマバイトとはいいますが、今回はフル8時間で募集しました。加えて、当日の作業内容や服装、持ち物などの詳しい説明も記載します(2026年3月号p243も参照)。
当日、マッチングしたワーカーさんが待ち合わせ場所にやって来ます。相手の情報は事前に確認できますが、実際に会うのはこの時が初めてなのでドキドキです。出退勤を管理するQRコードを印刷しておき、スマホでチェックインしてもらいます。その後、作業や田植え靴の履き方・脱ぎ方のレクチャーをしっかりやります。
その時に感じたのは、どのワーカーさんも「対応力が高い」ということ。さまざまな職場でバイトとして働いているので、作業ののみ込みがとても早いのです。
農業をやってみたかった
ワーカーさんたちと接するうちに、なぜ林さんちの求人が人気だったのかわかりました。
そりゃ時給でいえば、もっと高単価のバイトもあります。でも、皆さん口を揃えておっしゃるのが、「農業をやってみたかった」「田植えが楽しみで仕方なかった」ということ。え~!? 農業って、3Kといわれる超不人気業種じゃなかったの?と、目が点になりました。
つまり、潜在的な農業従事希望者が近くにいたにもかかわらず、これまでお互いにキッカケや方法がなかっただけだったのかも、と気付きました。
石川県では、24年の能登半島地震と洪水で、農業が壊滅的な被害を受けました。その後の復旧・復興、そして労働力の確保において「関係人口」が大きなキーワードとなっています。
もはや既存の労働力では、とてもやっていけない状況。そんな時、都会に住み「助けたい」「役に立ちたい」と考えている方たちとうまくつながると、復旧・復興やその後の労働力確保に、大きな力を発揮してもらえます。
この関係人口について、最近では田舎と都会を行き来できる二地域居住が推進される他、「おてつたび」や「ののの」(No 農 No Life)といった「農業×観光」型の形態もあります。
そんな意味で、タイミーのようなスキマバイトも、関係人口を掘り起こす一つのツールなのだと気が付きました。農業従事者の減少は、能登だけに限らず日本全体の状況です。それを打破するのが関係人口だとすれば、今後農業者はスキマバイトアプリにも目を向けるべきだと考えます。
そしてタイミーを利用する中で、マッチング率を上げる(確実に応募してもらう、リピーターを増やす)ポイントも見えてきました。アプリには、ワーカーさんによる農家のレビューも残る(次の募集に影響)ので、高評価を得るよう頑張らないといけません。
8時間勤務にすると人気が高い
まず、急な求人に対応できるスキマバイトといっても、やはりせめて「3日前には求人する」こと。また、雨天時に作業内容が変わる可能性なども明記しておきます(田植えがしたかったのに!という人も多いので)。
次に、ワーカーさんが遠方から来る場合は「ちゃんと交通費を設定する」こと。林さんちでは、ほとんどが近隣の方だったので設定しませんでしたが……。
さらに、スキマバイトというだけあって数時間での求人も多い中、丸1日しっかり働きたい方も多いためか、林さんちのような「フル8時間勤務の求人だと人気が高い」ことも見えてきました。
「タイミーさん」と呼ばないで
何より、楽しく気持ちよく仕事してもらうことが重要です。例えばワーカーさんにとって、林さんちのように懇切丁寧に説明し、必ず「名前呼び」する求人先はとても好感触のようでした。うちでは当たり前ですけど。他の職場では、作業の説明が少なかったり、「タイミーさん」と呼ばれたりする(!)ことも多いとのこと。
加えて……
この続きは『現代農業』2026年3月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。
2026年3月号の小特集【知りたい! 農業にスキマバイトアプリ】には、以下の記事も掲載されています。
・アプリによって違う性格 長期雇用や職員のスキル向上にもつながる 園山秀国
・スポットワーク、ここを押さえるべし 福島公夫
ぜひ本誌またはルーラル電子図書館でご覧ください。
ルーラル電子図書館は、年額制の有料会員向けサービスです。
ルーラル電子図書館の会員になると…
- 『現代農業』の最新号が電子書籍ですぐ読める
- 便利な検索機能で、『現代農業』の過去の記事が読み放題
- 動画で農機具のメンテや栽培のコツを分かりやすく解説
- 豊富な写真から、園地で病害虫をサッと特定、 登録農薬もすぐわかる