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私にも「神の手」が! 内田式お産介助法で分娩事故がゼロになった

私にも「神の手」が!
内田式お産介助法で分娩事故がゼロになった

宮崎・海野うみの善文

筆者47歳

 牛の分娩兆候を見逃さず(7月号)、実際に始まったら無事に産ませたい。「子牛が100%無事に生まれる内田式お産介助法」(2016年7~9・11月号)では、内田広志さん(岡山県)に事故を防ぐための技術を教えていただいた。その記事を読んで「早い介助」とお産がラクになる「神の手」を実践している海野善文さんに紹介していただく。(編集部)

口蹄疫から復興、新婚、なのに難産多発

 こんにちは、海野善文と申します。繁殖和牛を10頭飼養し、和牛の人工授精業務も行なっています。

 口蹄疫で全頭を入れ替えた翌11年、復興が始まり、結婚もし、育成牛の待ちに待った初産を迎えるときのことでした。朝から産気づいた母牛から、いくら待っても子牛の足が見えてこず、午後に慌てて獣医に電話して引き出してもらいましたが、死産でした。他の牛のお産はもっとひどく、足は出てきたが、いくら引っ張っても顔が出てこず、また慌てて獣医に電話すると「他の治療でだいぶ遅れる」と言われ、他の獣医に電話しても繋がらず、結局母子ともに死なせてしまいました。

 途中、足が出たまま憔悴しきっている母牛を見て何もできなかった自分が、ただただ情けないやら、悲しいやら、そんな気持ちでいっぱいでした。

 その後も難産は続きました。そこで、獣医師の松本大策さんの本や「ルーラル電子図書館」などインターネットを活用してお産に関する情報を集めまくりながら、助産の経験を少しずつ増やしていきました。

 その間に長女が生まれ、それがまたお産介助の重要性を考えるきっかけになりました。というのも、妻が13時間の陣痛に耐えた挙句、子供の頭が出ず、先生から「命の危険がある」と言われ、泣く泣く帝王切開に踏み切ったのです。無事出産できましたが、そのときの妻は顔面真っ青で本当に死んでしまうんじゃないかと思いました。女性にとってお産は命がけの行為だと思いました。

 そして16年、『現代農業』で「内田式お産介助法」の記事を読んで、やっと自分が求めていた方法が見つかったと思いました。


「神の手」による内田式お産介助法と一般的な介助法の比較

*内田広志さんの「神の手」の使い方や介助のパターンの記事(2016年7月号)は、農文協の「ルーラル電子図書館」にてご覧いただけます。

早めの介助の効果

▼分娩がラク、母子が元気

 それからは記事の通り、分娩が心配な母牛には「しっぽを上げてグルグル歩く状態になったら(陣痛開始)、産道に手を入れて状態を確認。マッサージするようにして刺激し、破水させる」ようにしました。すると、その後1時間ほどですんなり産んでくれるようになりました。子牛も元気ですぐに立ち上がってくれます。お産後の母牛の回復も早く、次の発情も順調に来る ような気がします。

 それまでは分娩兆候があっても、その後の第1破水や第2破水、子牛が出てくるまで、牛任せで待っていました。早めに手を入れてやることで、牛にとっても人にとってもお産がラクになる。まさに内田さんの言う「神の手」です。自分なりにですが、内田式介助を始めてからは分娩事故は起きていません。

 授精師の仕事に行った先でも、ちょうど牛が尾を上げてお産が始まっていることがたまにあります。そんなときは産道をマッサージしてあげて、私は別の現場に向かいます。するとほぼ1時間後に、「生まれたよー」とその農家から電話が来ます。

▼陣痛が強くなり、難産防止

 産道をマッサージしていると、だんだん産道の張りが強くなるのを感じます。つまり牛の陣痛が強くなります。

 農家のなかには、例えばお腹の中の子が血統的に大きい可能性があると不安になり、獣医さんに分娩促進剤を打ってもらう方も多いようです。注射を打つとだいたい2日以内に分娩しますが、万が一難産で、獣医さんも忙しいと手遅れになる可能性もあります。

 そんなときでも産道をマッサージすることでかなり陣痛が強くなるので、分娩の兆候が出ていたら積極的にするほうがいいと思います。

▼異常や個体差もわかる

 産道に手を入れると、子牛に手が触れ、前足か(後ろ足なら逆子)か、顔がまっすぐ向いているか(横向きなら姿勢の異常)もすぐわかるので、早めに対処できます。

 なかにはマッサージをしてもなかなか陣痛が強くならない牛もいます。もともと陣痛が弱いなど、牛ごとの性質がわかって次の分娩時に活かせます。

「口蹄疫」後に分娩事故が続いたのは、繁殖牛を全頭入れ替えて個体差がわからなくなったことも、要因の一つではないかと考えています。


この記事には続きがあります。本誌204~211ページをぜひご覧ください!

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