植物ホルモン入門 果樹の気持ちが読める!?
植物ホルモンって何?
みなさんは、作物を栽培するときに植物ホルモンを意識することはありますか? 人間や動物のホルモンと同じく、ごく微量で体の働きを方向づける生理活性物質。植物が生きる上でとても重要な役割を果たしていますが、とにかくわからないことが多い。カタカナ言葉で覚えづらい。さらに、同じものでも、時と場合によって全く反対の作用をするなど、働きが複雑。
そんな手ごわいテーマに果敢に挑戦したのが、今回の特集です。新キャラを登場させて、とにかくわかりやすく、おもしろく、植物ホルモンの働きを学ぶ入門編。目の前の果樹や野菜の状態が今までより鮮明に見えるようになるとうれしいです。
徒長枝が重要
特集の一番のポイントは「徒長枝を生かす」こと。「徒(いたずら)に長い枝」という言葉どおり、果樹栽培では真っ先にせん定して切り落とす枝とされる徒長枝ですが、植物ホルモンの働きを考えると、これが最重要な枝といえるのです。枝の生長点で生まれて根っこを伸ばすオーキシンという植物ホルモンと、根っこの先端で生まれて地上部を伸ばすジベレリンやサイトカイニンが相互に高めあって、どんどん生長促進していくようすを、図や写真でわかりやすく紹介しています(p48、p54)。果樹コーナーの人気連載で登場するセガっちゃんこと、瀬片元治さんは、徒長枝のことを「オーキシン発生装置」であり、「根っこ製造機」だといっています。言いえて妙ですね。
植物ホルモンの役割を会社経営に例えると
また、人気ユーチューバーのつるちゃんこと、鶴竣之祐さんに、オーキシンはじめ8種類の植物ホルモンの役割を、会社の経営に例えて痛快に解説してもらいました。
元祖カリスマ上司のオーキシン専務と、めちゃめちゃ部下思いのサイトカイニン常務、若手育成担当のジベレリン部長、肩たたき役のエチレン課長、危機管理課のアブシシン酸課長と、個性豊かな面々が登場します。そして、あなたは株式会社「植物」を経営する社長、という設定です。会社経営をうまくやるには社員の個性をしっかり把握して、適材適所で活躍してもらうこと。詳しくはぜひ、記事をご覧ください(p62)。
道法正徳さんによる解説も
そして、植物ホルモンといえば、垂直仕立てで有名な「道法スタイル」の提唱者、道法正徳さんにも登場いただきました(p78)。レモンの苗木を3mの高さに、ブドウ苗を5~6mの高さに仕立てる垂直栽培。ここまで読み進めてもらえば、その理論もしっかり頭に入れて、実践に移せるはずです。道法スタイルでのブルーベリーの仕立て方もじつに興味深い。大粒の実がなって、その重みで枝が頭を垂れる圧巻の成り姿をご覧ください(p68)。
今回はおもに果樹の仕立て方を通して植物ホルモンの働きを見ましたが、イネや野菜栽培にも植物ホルモンを生かした方法があります。イネの苗踏みや草花のなでなで栽培、発芽時の覆土・鎮圧効果なども、ワンポイント記事で紹介しています(p94)。
その他のコーナーも見どころ満載です。タイトルだけですが、ご案内します。
【稲作・水田活用】どうする!? これからの稲作 「令和の米騒動」を経て
【野菜・花】新連載 イチゴ「8トンクラブ」の挑戦
【果樹】紺野式 植物ホルモンでモモの少チッソ栽培
【山・特産】スギ林から 売れるものたくさん見つけた
【畜産】耕畜連携で牛が喜ぶイナワラ集め
【くらし・経営・地域】極上の米こうじづくり 大公開
試し読み
取材動画(期間限定)を見る
動画は公開より3カ月間無料でご覧いただけます。画像をクリックすると「ルーラル電子図書館」へ移動します。