現代農業2024年8月号は、「バイオスティミュラント」大特集! 本誌で紹介したバイオスティミュラントのうち、家庭でも作れそうな4種について実際に作ってみました!
現代農業WEBでは、本誌で載せきらなかった詳しい手順をお届けします。
フルボ酸
リン酸などの肥料効果を促進し、農作物の収量・品質がアップする「フルボ酸」。フルボ酸を抽出した液体資材は高価ですが、ペレットを購入し、自分で曝気すれば大量に作れます!
一般的には、消臭スプレーとしても販売されているフルボ酸。肥料用途だけではなく、家庭で使える自然由来のお掃除グッズとして備えておくのもよいかも!?
バイオスティミュラントってなに?
今世界中で大注目の農業資材「バイオスティミュラント」。直訳すると「生物刺激剤」のこと。腐植質、海藻、アミノ酸、鉄、ビタミン、微生物資材などまで幅広く、いわゆる肥料でも農薬でもなく、植物になんらかの刺激を与えて収量・品質をよくする資材のこと。まったく新しい資材というわけではなく、例えば、これまで現代農業で取り上げてきた光合成細菌や、酢、酢酸カルシウム、タンニン鉄などもバイオスティミュラントといえる。
今回の実験は、現代農業2024年8月号(p.88~93)を参考にしました。
準備
材料(約1L分)
・水 1L
・腐植ペレット 20g
・エアーポンプ
・ペットボトル
あると便利なもの
・ペットボトル容器(保存する入れ物)
・水切りネット
①腐植ペレットを水切りネットに入れる
水切りネットに腐植ペレットを入れ、口を縛ります。
②水に入れ、空気を送る(曝気)
ペットボトルに水(1L)と腐植ペレットを入れる。腐植ペレットに空気(エアー)があたるように、エアーポンプを設置します。完成まではエアーを送り続けます。
③pHが3.0~4.0の間になるまで待つ
完成の目安は、pHが3.0~4.0の間です。仕込み後2~3日ではpHが下がりきりませんでしたが、約1週間後、無事pHが3.0まで下がりました。
完成!
完成したフルボ酸液は、きれいな琥珀色になります。腐植ペレットのほうはとくに溶けたようすはなく、曝気後も外観に変化はありませんでした。この腐植ペレットは何回か繰り返し使えるので、水を継ぎ足して作り続けることができます。pHが6以下にならなくなった頃が腐植ペレットを交換する時期(目安)です。腐植ペレットを取り扱っているメーカーによると、半年に一度は交換したほうがよいとのことです。
使うときの希釈倍率は、500倍です(pH6~6.5を目安に)
実験のようすは動画でも公開中!
現代農業2024年8月号の取材ビデオでは、今回の「手作りバイオスティミュラント」の手順を動画で公開しています!
(おまけ1)フルボ酸の消臭効果で、光合成細菌のニオイが消えた!
フルボ酸にはアンモニア臭などのイヤなニオイを消す効果もあるとのこと。
では、硫化水素をエサにする光合成細菌のニオイも消えるのでは? ということで、ためしにニオイのきつい光合成細菌を数滴垂らした布にフルボ酸液をかけてみると……。するとビックリ、きれいに消臭されて、赤色も消えていました!
フルボ酸液があれば、光合成細菌をうっかりこぼしてしまっても安心ですね。
手作りバイオスティミュラント「光合成細菌」の作り方はこちら
(おまけ2)靴下にもフルボ酸
とはいえ、日常生活で光合成細菌をこぼす機会は少ないですよね。
身近な気になるニオイといえば、靴下!ということで、脱ぎたての靴下にフルボ酸液をスプレーしてみました。
その効果は……ニオイは消えましたが、フルボ酸をかけすぎたせいか少し鉄臭くなってしまいました。霧吹きで1プッシュくらいがちょうどよさそうです。
「作ってみた! 手作りバイオスティミュラント」シリーズ
2024年8月号の「フルボ酸―土が生き返る」コーナーでは、この実験のほか、フルボ酸に関する以下の記事も収録されています。ぜひ本誌でご覧下さい。
- フルボ酸+キトサン液でタマネギバエが死んだ、ジャガイモは反収8.4tに 森田彰
- フルボ酸で発根促進 高温・干ばつでもビートの葉がしっかり立っていた 有馬慎吾
農文協 編
土壌の耕作最適状態である「熟土」はどのように用意されるのか? その鍵を握る腐植や腐植粘土複合体の生成を、新鮮有機物や堆肥、微生物や植物の根、ミミズの働きと結びつけ、生きている土壌全体の活動として描く。