長野県・礒辺和明

標高900mの中山間地で、年間約30品目の野菜を無農薬・無化学肥料で栽培しています。生協やスーパー、自然食品店、直売所、レストランなどに出荷する他、個人向けに野菜セットも販売しています。
2020年は新型コロナウイルスの影響で飲食店関連からの受注は激減しました。しかし、生協と個人向けの野菜セットは、数日おきに「今までまったく知らない人から注文がきた!」という具合にかつてないほどの売れ行きでした。どうも「買い物に行きたいが感染が怖くて行けない」という都市部の方に喜ばれたようです。
品種選びは「自分が美味しいと感じること」を大事にしています。味で選ぶと新品種よりも昔からある品種が残ることが多いのですが、お客さんに胸を張って勧められる美味しい品種がいくつかあるので紹介します。
コマツナは苦い、なんていわせない はっけい(サカタ)
コマツナは新品種も出ていますが「緑が濃い」「大きくなりすぎない」と見栄えや収穫のしやすさなどの作業性をウリにしたものが多い。そういう品種は食べると特有の苦みが強い傾向があるようです。
はっけいはずいぶん前からある品種で、大きくなりがちで、色もだいぶ薄めです。ただ、苦みは少なく食べやすい。堆肥や緑肥を中心に少チッソ栽培すると、さらに苦みが減り、サラダでも食べられます。わが家の子供も大好きで、サラダ、味噌汁、炒め物、お浸しと毎日のようにバクバク食べています。
もはやモモ!? 軟らかさナンバー1のカブ スワン(タキイ)
春と秋の野菜セットに必ず入れる定番野菜。これも何十年も前からある品種ですが、耐病性や傷のつきやすさ、棚もちがイマイチというデメリットがあるようです。ただ、身の軟らかさとジューシーさはピカイチ。生食や浅漬けがとても美味しい。味噌汁やスープに入れると旨みが出汁となり、一味違うスープになります。

肉詰めの肉がいらなくなるピーマン ニューエース(タキイ)
お客さんから「ピーマンの肉詰めを作ったら、息子に次から肉は詰めないで焼いてほしいといわれた……」との感想が届くほど美味しいピーマン。肉厚でジューシー。有機栽培で育てるためか苦みも感じられず、果物のようでさえあるが、香りなどはまさしくピーマン。子供やピーマン嫌いの人でも喜んで食べてくれます。
巣ごもり需要にミニハクサイ! タイニーシュシュ(サカタ)
今月号のイチオシ記事
2021年2月号の試し読み
安藤康夫 著
屋上やベランダで、畑をしのぐ収穫とおいしさを実現! 自宅でタネとりできる、おすすめ品種や、作物の根の形にあわせた容器の選び方、日当たりや風通しを考えた設置場所、スペースを生かした仕立て方、作物の生育にあわせた肥料やりのタイミング、タネのとり方など、自宅で30品目を育てるための具体的な手順が、写真でわかる。
東山広幸 著
誰でもできる野菜42種の有機栽培術。どんな野菜でも育苗し、身近にある米ヌカやマルチを使う。雑草を抑える「大苗+穴あきマルチ植え」、雑草も病気も出にくくなる「米ヌカ予肥」などのワザ満載。豊富な図で解説。