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【サクラでひと稼ぎ】春を一年中楽しめる サクラの花のシロップ漬け

青森県・ 柏崎一紀

「春」を感じさせるサクラの花。その魅力は切り花や農産加工でさらに輝きます。現代農業2022年4月号「春、サクラでひと稼ぎ」コーナーの記事のなかからお届けします。

サクラの花の色がよく残るシロップ漬け
サクラの花の色がよく残るシロップ漬け

牧場に自生する野草、山菜を採取

 東北牧場では約100haの敷地でサラブレッドの生産・育成・調教と、農薬や化学肥料を一切使わない野菜やハーブの栽培、平飼い有精卵の生産を行なっています。敷地内にはさまざまな野草、山菜が自生しており、これも採取して販売しています。

 野菜や野草を旬以外の時期にも提供しようと、加工場を建て、漬物や茶葉などに加工しています。

 牧場のグループ会社としてホテルやレストラン、カフェがあり、ファームトゥテーブル(農場からテーブルへ)というコンセプトで、農場から直送の食材で料理を作って提供しています。

摘み取った花は水でよく洗ったら、一晩おいて水をしっかり切る
摘み取った花は水でよく洗ったら、一晩おいて水をしっかり切る

カフェ料理には塩漬けより合う

 以前はサクラの花を塩漬けにしていました。しかし、グループ会社のカフェから「塩漬けよりシロップ漬けのほうがカフェの料理には使いやすい」という声があり、それに応えるためにシロップ漬けを作り始めました。

 4月末から5月初め、牧場内に生えている八重桜の木から摘みとった、まだ五分咲きの花を使います。花はその日のうちに水で洗い、一晩かけて水を切ります。翌日、花を真空包装用のポリ袋に入れ、北海道産のビート上白糖と青森県産のリンゴ酢を加えます。袋を閉じて指で揉み、花と砂糖と酢がよくなじんだら、そのまま真空包装し、熱湯に浸して殺菌。熱湯から取り出して熱を冷ましたら完成です。真空包装のまま冷凍すれば1年間保存でき、サクラの香りを楽しめます。

サクラの花100gに対して、上白糖40~60gとリンゴ酢30~50gを加え、よく揉んでなじませる
サクラの花100gに対して、上白糖40~60gとリンゴ酢30~50gを加え、よく揉んでなじませる

香りを活かして菓子やドリンクに

 現在、グループ会社のカフェやレストランでシロップ漬けを活かしたアイデアが次々生まれています。

 シロップ漬けを入れて焼き上げたホテルコンチネンタル府中の「桜フィナンシェ」は口の中でサクラの香りが広がります。サクラカフェの「さくらパンケーキ」は、ピンク色の見た目が可愛いらしく、シロップ漬けのほんのりとした酸味が利いて、とくに若い女性から好評です。ミントの代わりにシロップ漬けを使った「桜モヒート」と「桜マティーニ」は銀座300BARの人気のドリンクメニューです。いつでも春を味わえる、それがサクラのシロップ漬けの一番の魅力です。

サクラのシロップ漬けを使ったマティーニ。利用法はアイデア次第
サクラのシロップ漬けを使ったマティーニ。利用法はアイデア次第

*月刊『現代農業』2022年4月号(原題:春を一年中楽しめる サクラの花のシロップ漬け)より。情報は掲載時のものです。