この記事は、現代農業2023年1月号の特集「今、ドブロクがアツい」から選んだ試し読みです。日本で自家醸造が禁止になった歴史と、この間の自家醸造をめぐる情勢について、青山学院大学・三木氏に解説していただきました。ぜひご覧ください。
青山学院大学・三木義一
スローフードの時代。美味しい吟醸酒もいいが、手づくりの自分のお酒も飲んでみたいと思うのはごく自然なことですね。でも、自家醸造は基本的に禁止され、梅酒などについては規制がいろいろあります。なぜなのか、できるだけわかりやすく解説してみましょう。
なぜ、自家醸造が禁止されたのか
酒税が明治時代の国家財政を支えていた
ドブロク裁判の顛末
◆1989年12月14日、最高裁判所第一小法廷での判決
酒税法の右各規定は、自己消費を目的とする酒類製造であっても、これを放任するときは酒税収入の減少など酒税の徴収確保に支障を生じる事態が予想されるところから、国の重要な財政収入である酒税の徴収を確保するため、製造目的のいかんを問わず、酒類製造を一律に免許の対象とした上、免許を受けないで酒類を製造した者を処罰することとしたものであり、これにより自己消費目的の酒類製造の自由が制約されるとしても、そのような規制が立法府の裁量権を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるとはいえず、憲法三一条(適正手続の保障)、一三条(幸福追求権)に違反するものでないことは、当裁判所の判例の趣旨に徴し明らかであるから、論旨は理由がない。
梅酒解禁のいきさつ
こうしていまだに自家醸造は禁止されているのですが、その規制を緩和する動きが二つほどありました。一つが梅酒解禁で、もう一つがビールの年間最低製造数量の引き下げです。
もともと、梅酒は焼酎などに梅を漬けて、新たに酒類を製造することになるので、自家醸造とみなされていました。しかし・・・
今月号の特集「今、ドブロクがアツい」とあわせて読みたい過去の記事を期間限定で公開しています。
この記事のほか、2023年1月号ではドブロクがよくわかる以下の記事も掲載しています。
- 「どぶろくを醸す会」が大盛況 千葉・千葉みずたま
- 飲んで素肌美人、浸かってあったか ドブロクは最高の発酵食品! 今西美穂
- お手軽版 ドブロクのつくり方
- これぞ農家のドブロク 珠玉の工夫集
- 世の中では、ドブロク愛、上昇中 山口・右田圭司さん
- あわせて読みたい ドブロクの指南書ここにあり
ぜひ本誌でご覧ください。
2023年1月号の試し読み

ドブロクをつくろう
前田俊彦 編
1981年刊行、禁断の名著が復活。酒税法は憲法違反。しかも自家醸造が違法なのは世界中で日本だけ。各界の人がこの悪法を粉砕し、ドブロクを民衆の手にと主張する。巻末に図解入りでドブロクやワインの造り方を詳述。